交通事故

後遺障害12級のむち打ちとはどんな症状?

交通事故で「むち打ち」になってしまう方は少なくありません。
むち打ちは、「よくある交通事故の怪我」と軽く考えられがちですが、場合によっては完治せず、長期に渡ってひどい痛みや吐き気などに悩まされる方もいます。

今回は、交通事故で重度のむち打ちとなってしまった方のために、正当な補償を受けるための後遺障害等級認定について詳しく解説します。

1.後遺障害として認定される「むち打ち」とは

交通事故では、事故の大きさによってさまざまな怪我が想定できます。その中でも最も多いといわれている怪我の1つに「むち打ち」があります。

むち打ちとは、後ろからの大きな衝撃により、首(頸椎)が大きくしなり、筋肉や神経が損傷してしまう怪我を指します。一般的にはむち打ちと呼ばれていますが、病院での診断名は頸椎捻挫、頸部捻挫、外傷性頸部症候群、などの名前がついています。

症状としては、首の痛みや痺れが代表的ですが、これに止まらずさまざまな症状を引き起こすことがあります。
例えば、首だけでなく肩や腕・手の痛み・痺れ、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りなども症状の1つとなりえます。

むち打ちと一言でいっても、さまざまな症状があり、苦痛の程度も人によって異なります。

2.むち打ちの後遺障害認定

(1) 後遺障害等級認定とは

むち打ちには、ご紹介した通りのさまざまな症状が現れることがありますが、先にご紹介した以上に重度の症状が出てしまうこともあります。

例えば、日常生活を送れないほどの痛みや痺れ、麻痺(味覚障害・視覚障害)、認知機能の低下など、重度の症状に苦しむ方もいらっしゃいます。

このようなケースの場合は、詳しい検査をすることで脳や脊髄に別の損傷が見つかるケースも少なくありません。
重度な症状に苦しまれている方は、MRIなどで詳しい検査を行うようにしてください。

また、むち打ちの症状が半年以上続き、長期に渡って治療をしている場合は、完治しない可能性が高いといえます。
この場合は、「後遺障害等級認定」を受けることができます。

後遺障害等級が認められると、被害者の方には自動車損害賠償法に基づく1級から14級までの等級が付与されます。
これにより被害者は、等級ごとに定められた後遺障害慰謝料や逸失利益の保障を受け取ることができるのです。

後遺障害慰謝料とは、後遺障害を被ったという精神的苦痛に対する賠償金です。
逸失利益とは、後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入を保証するものとなります。

後遺障害の損害賠償の額は、獲得できる等級によって決まっているため、どの等級を獲得するのかは被害者にとって重要な問題となります。

(2) むち打ちで認められる等級

むち打ちで獲得できる等級の多くは14級ですが、重度の症状の場合は12級を獲得できる可能性もあります。

12等級であれば最低でも自賠責基準の93万円の後遺障害慰謝料が獲得できますが、14等級の場合は32万円に下がってしまいます。

(3) むち打ちの後遺障害等級認定は被害者請求を選ぶべき

等級によって後遺障害慰謝料の金額が大きく変わることから、重度の症状の場合はできる限り上位の等級の獲得を目指すべきです。
そして、この場合申請方法としては被害者請求を選ぶべきといえます。

実は、後遺障害認定の申請には2種類の方法が存在します。1つは事前認定、もう1つは被害者請求です。

事前認定とは、加害者が加入する任意保険会社に後遺障害等級認定の手続きを任せる方法です。

全ての手続きを保険会社に任せることで、手続き負担がないのがメリットです。しかし、他人任せで申請を進めてもらうため、希望等級を獲得できないケースも数多く存在します。

これに対し被害者請求とは、被害者ご自身が後遺障害等級認定の申請を行う手続きです。ご自身で申請を行わなければいけないため、手続き負担はありますが、申請書類なども全て確認できるため納得した手続きができます。

これは、後遺障害等級認定に慣れた弁護士に任せてしまえば、手続き負担もなくなり、希望等級獲得の可能性も高くなります。

他覚症状が少ないむち打ちなど、等級獲得が難しい症状の場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

3.むち打ちで12級を獲得する際のポイント

むち打ちの症状が重い場合、できるだけ上の等級を獲得したいでしょう。この場合は、12級の獲得を目指すことになります。

(1) 12級の認定に必要な条件

12級が認定されるためには、難しい等級獲得の条件をクリアしなければいけません。

具体的には、以下の条件をクリアすることが必要です。

  • MRIやレントゲンなどの画像から病変が確認できること
  • 症状と一貫性のある画像所見、神経学的検査結果があること
  • 事故による病変であると証明できること(持病や加齢によるものではないこと)

12級の場合、画像初見や神経学的検査結果から病変を医学的に証明できなければいけません。簡単に言うと、自覚症状としての痛みや痺れだけではなく、MRIやレントゲンなどの画像所見等から医学的に見て原因が明らかというケースではないと、12級は獲得できないのです。

また、症状が画像と一致していることも必要であり、さらに事故からその画像の病変が生じたという,事故との因果関係も証明できなければいけません。

自覚症状について医学的説明が可能であるものの、画像所見等からは原因が確認できない場合は、14級の獲得にとどまることとなります。

(2) 通院の際の注意点

一般的に、むち打ちで12級を獲得することは簡単ではありません。
12級の獲得を目指す場合は、以下のことに気をつけましょう。

  • 病院には定期的に通うこと
  • 早めにMRIやCTなど適切な検査を受けること
  • 医師とのコミュニケーションを適切に取ること
  • 後遺障害診断書に適切な内容を書いてもらうこと

病院には定期的に通うこと

まず、治療中は定期的に病院に通うようにしてください。

症状があるのに病院に行く頻度が少ないと、軽症だと判断され、12級の獲得が難しくなります。最低でも週2回程度は病院に通うようにしましょう。

早めにMRIやCTなど適切な検査を受けること

また、早い段階で適切な検査を受けてください。

12級は画像所見で自覚症状と一致する病変が確認できないと獲得できません。事故後、できるだけ早い段階でレントゲンやMRI、CTなどの適切な検査を受けることで、病変を確認することができます。

早い段階で受けることにより、事故との因果関係も証明しやすくなります。ただし,たとえば椎間板ヘルニアなどは通常の場合加齢性変性であることが多く,事故との因果関係を証明するのは極めて難しいです。事故の規模が大きかったことなどを踏まえ,「外傷性でなければ起きない椎間板ヘルニア」であることを証明することが必要になります。

医師とのコミュニケーションを適切に取ること

医師とのコミュニケーションも重要です。

主治医には、痛みや症状がある場所、頻度について細かく説明するようにしてください。普段から細かく伝えていることで、症状の深刻度が伝わりやすくなります。

普段からコミュニケーションを良好にしていれば、「追加の検査を受けたい」と言っても、嫌な顔をされることはないでしょう。

後遺障害診断書に適切な内容を書いてもらうこと

医師の把握する患者の症状は、後に記述してもらう後遺障害診断書にも影響します。

むち打ちの中でも重い症状だと自覚している場合は、医師にもそれを理解してもらうことが必要です。

4.むち打ちの後遺障害認定は、弁護士へ相談を

むち打ちで後遺障害等級認定の等級を獲得することは可能です。しかし、検査結果や症状によっては獲得自体が難しくなる可能性もある症状です。

そのため、申請を行う場合は、弁護士による的確な検査や書類収集がお役に立てるでしょう。

重度のむち打ちの方で12級を獲得したい場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。交通事故事件に関する法律知識、経験を活かし、スムーズな等級獲得を目指します。

被害者の方だけでは手続きが難しいことも多いため、まずはお気軽に、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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