交通事故示談で保険会社と揉めている方必見!今知っておくべき全知識
交通事故は突然発生するものです。それも被害者になってしまった場合、どうしたらわからず困惑する方も多いでしょう。
加害者側の任意保険会社から早急な示談を求められている場合は、焦って応じてはいけません。内容の妥当性を確認した上で、納得いく解決策を考えましょう。
ここでは、交通事故の示談で知っておくべき知識を一からご説明します。
事件発生から解決までの流れ、示談に関するあらゆる期間、注意点などを一挙に解説します。
このコラムの目次
1.交通事故〜示談、事件解決までの流れ
まずは、交通事故発生から示談、事件解決までの流れを見ていきましょう。
(1) 示談はなんのために行うのか
交通事故の示談とは、交通事故に関する事柄を当事者同士で話し合い解決する1つの方法のことです。法律上は和解契約として考えられています。
示談には、時間がかかることもあり、「早く終わらせたい」と思うこともあるでしょう。
しかし、交通事故後に、しっかりと当事者間で解決しておかないと、後々余計に面倒なことになりかねません。
なぜ交通事故で示談が必要かというと、以下の3点に絞られます。
①損害賠償請求を行うため
交通事故の被害者になってしまった場合は、加害者に対して損害賠償請求を行い、責任を取ってもらわなければいけません。
しかし、損害賠償をするには損害項目の内容を確定して、お互いが納得いく金額で話をまとめる必要があります。
②事故に関する債権債務関係を確定するため
口約束のみで金額を定めた場合、支払ってもらえない危険もあります。そのため、しっかりと文書で確認し、加害者や任意保険会社がどのくらいの額を支払うのかを契約として残さなければいけません。
当事者間の債権債務関係が明らかとなるので、後日の「言った・言わない」トラブルを防ぐことができます。
③迅速に解決するため
示談で解決すると、裁判で争うよりも事件解決までの道のりが短縮されます。
裁判になると時間がかかり、時間だけでなく労力もかかります。できる限り、示談で解決することにより、迅速に交通事故問題を解決することができるのです。
(2) 交通事故後、事件解決までの流れ
次に、交通事故後に、事件解決までの流れを理解しておきましょう。
交通事故発生から事件解決までは大まかに3つの段階に分けることができます。第一段階は事故発生、第二段階は示談交渉、第3段階は訴訟です。
①第一段階 交通事故発生
交通事故が発生したら、まずは負傷者の確認です。当事者同士怪我がないかどうかを確認し、怪我がある場合はすぐに救急車を呼びます。
同時に、事故発生を警察に報告する必要があるので、警察にも連絡します。
警察が到着したら、現場検証が行われ各当事者に質問が行われます。
警察の質問等が終わったら、任意保険会社に連絡しましょう。当日の事故処理や今後の方針などを簡単に教えてくれます。
被害者は、加害者の連絡先を聞くことを忘れないように。
また、軽い物損事故の場合でも、首などに少しでも違和感があれば病院へ行きましょう。
②第二段階 示談交渉
交通事故当日の処理が終わったら、治療に移ります。治療が終われば、損害額が確定するため示談交渉に入ります。
被害者は任意保険会社から慰謝料額などの提示を受け、応じるか交渉するかを決定します。無事納得できた場合は示談書をまとめ、指定日に支払いが行われ事件解決です。
物損の場合は、修理費用等の見積もりが出来上がり次第示談交渉に入ります。
③第三段階 訴訟(調停、ADRも含む)
示談で必ずしも当事者間の合意が得られるわけではありません。
この場合は、調停やADR、または裁判で争うことになります。
裁判の場合、判決あるいは和解ができた段階で事件解決です。指定日に支払いが行われます。
2.示談に関するあらゆる期間 示談にかかる日数
次に、示談に関する期間についてご説明します。
事件全体にかかる期間、示談にかかる期間、示談成立から振込みまでの期間まで、それぞれ見ていきましょう。
(1) 事件全体にかかる期間
物損なら2ヶ月、人身なら6ヶ月が目安
まずは、事件解決全体にかかる期間についてご説明します。
事件解決までにかかる期間は、人身事故か物損事故かによって変わってきます。
物損のケースは、事件解決までにかかる期間は比較的短く、人身のケースは長くなることも多くなります。
具体的には、物損事故の場合は2-3ヶ月程度で事件終了となることが多いでしょう。早ければ1ヶ月以内のことも多いです。
人身の場合は、怪我の大きさ、治療期間に左右されます。具体的には、軽症か通常の事故の場合は半年程度で事件解決に至ります。
もっとも、重症の場合はさらに時間がかかり1年かかることもあります。人身事故の場合は治療が終わらないと、示談交渉が始められないことが原因です。
ちなみに、人身事故の損害賠償請求の時効は3年です。物損から人身への切り替えが必要な場合は、できる限り早めに行うようにしましょう。
(2) 示談開始から示談成立までの日数
3ヶ月程度で訴訟を検討
では、示談開始から示談成立までの日数はどのくらいなのでしょうか。
まず、示談交渉の始まりがいつなのかが気になるでしょう。
示談交渉は、任意保険会社から損害賠償額の提示を受けることから始まるのが一般的です。提示される時期としては、治療が終了したときです。
さらにいうと、完治しなくとも医師から「症状固定」と診断されたときには、示談交渉が開始される時期と判断して良いでしょう。
いつ完治するかは、怪我の程度にもよります。医師に目安となる期間を聞いておくと良いでしょう。症状固定と診断されるのは一般的に6ヶ月です。
物損の場合は、修理費等の見積もりが終わり、賠償額が明らかになった段階です。事故後2週間程度で提示されることが多いでしょう。
次に、示談開始から終わりまでの期間についてです。
事件全体ではなく、示談交渉自体は早くお互いが納得できれば数週間で文書にまとめられることもあります。
しかし、過失割合や慰謝料額に納得できず、交渉が進まないケースもあります。
このようなケースでも3ヶ月程度で終わるのが通常です。これ以上長引くようなら、訴訟など次の段階を検討した方が良いでしょう。
(3) 示談締結後、振り込まれるまでの期間
1週間程度が目安
最後に、示談成立後から振込みまでの日数はどのくらいかについてお伝えします。
任意保険会社と示談交渉を行い、正式にまとまった場合は、文書にて振り込み期日が記載されています。
実際の振り込み日は示談成立から約1週間後となることが多いでしょう。遅くても、10日以内に振り込まれるのが通常です。
仮に、この期間内に振り込まれないことがある場合は、保険会社に確認をした方が良いでしょう。
訴訟となり判決が出た場合も、判決から1週間程度で振り込まれます。遅れると遅延損害金を支払わなければいけないため、遅れることはまずないでしょう。
加害者が任意保険会社に入っていない場合は、加害者個人とのやりとりとなります。この場合でも、しっかりと示談をまとめれば、指定の期日までに振り込みを行ってくれます。
事故問題が解決するまで、どのくらいかかるのかわからないと不安になることもあるでしょう。目安となる期間を知っておけば、安心できるはずです。
上記を目安に考え、通常より時間がかかっているようであれば、次のアクションを起こすようにしてください。
3.示談する上で注意すべきこと
加害者と直接交渉しても大丈夫?
最後に、示談交渉で注意すべきポイントをお伝えします。加害者と直接交渉することについてもご説明します。
(1) 示談交渉での一般的な注意事項3つ
ここでは、示談交渉での一般的な注意事項をご説明します。
示談交渉をご自身で行う場合は、以下の3点を意識しておくようにしてください。
- 納得できない場合は、示談に応じないこと
- 任意保険会社は加害者の味方であるということ
- 自賠責基準は一番低い額であること
示談交渉は、被害者の方にとって精神的にも負担が大きいものです。
人身事故の場合は、怪我の治療で身体面の負担も大きいため、さらに負荷が大きくなります。そのため、任意保険会社の言い値で損害賠償額を決定してしまうケースもあるのです。
このことを念頭におき、「提示額に納得できない場合は応じない」姿勢を保つようにしてください。
また、任意保険会社の担当者はどれだけ良い人で親身になってくれる方であったとしても、加害者側の味方であることには変わりません。
特に、早急な示談交渉を求めてくるケースや、治療費打ち切りを打診してきたようなケースでは、十分な補償が得られない可能性があります。
自賠責基準は慰謝料算出の基本となる計算式です。もっとも、これにより算出された金額は、3つある慰謝料算定基準の中で一番低い額となります。
任意保険会社の基準はその次に高いですが、ベストな慰謝料額になるとは言い切れません。
任意保険会社の提示する慰謝料額に納得できない場合は、一番高い基準となる弁護士基準で一度算出してみてください。弁護士基準なら慰謝料額が自賠責基準の倍以上にアップすることもあります。
(2) 示談交渉中に、別途個別交渉をしてきた場合は?
「示談交渉中に加害者が、別途交渉してきました。応じても大丈夫?」
実は、加害者が保険会社とは別に個別交渉を行ってくることがあります。
示談書に記載される内容であれば問題ありませんが、任意保険会社等を通さず勝手に加害者が裏で示談交渉を行っているようなケースではあれば応じてはいけません。
物損事故などでもよくありますが、任意保険会社を通すと加害者の保険料が事故の影響で上がります。これを避けるために、任意保険会社を通さず交渉を行ってくるなどの事情があるのです。
もっとも、個人同士でやりとりを行うだけの場合は、示談書も作成されず後日トラブルになりがちです。できる限り、弁護士や保険会社を通して示談をまとめるのが賢明です。
また、示談内容は全て文書に記載すべきです。示談書に記載された内容に反するようなことがあれば問題となります。
任意保険会社を通している場合でも、裏で勝手にやりとりを行わないようにしましょう。
示談内容に納得がいかない場合は、裁判で決着をつけることもできます。
このように、加害者側の任意保険会社と交渉を行っている間は、担当者を通して話し合いを進めるのが賢明です。
多くの人と交渉を行うと、内容が複雑になり後日トラブルになるということを覚えておきましょう。
4.交通事故の示談は泉総合法律事務所へご相談下さい
任意保険会社と示談交渉中の方は、不安が多いことでしょう。頭の中では「慰謝料額が低すぎる」と考えていても、「妥当な金額ですよ」と何度もいわれると、「そうなのかもしれない」と思うのが普通です。
しかし、納得できない場合は簡単に諦めてはいけません。
ご説明したように任意保険会社はあくまで加害者の味方です。被害者にとって最良の条件で示談を行うことは難しいケースもあります。
そんなときこそ、弁護士に相談してください。依頼人である被害者の味方として、示談交渉を進めさせていただきます。
提示額に納得できない場合は、どのくらいの額なら納得できるのかを一緒に検討してみましょう。
泉総合法律事務所には交通事故を多く取り扱っているため、経験豊富な弁護士が揃っています。交通事故の示談なら、泉総合法律事務所へ是非一度ご相談下さい。
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