債務整理

誤解を解きます!自己破産のデメリットは家族にどう影響するのか

誤解を解きます!自己破産のデメリットは家族にどう影響するのか

自己破産は、返済できなくなった多額の借金を解決するための最終手段です。

自己破産によって免責を得られれば、借金の返済義務はすべて免除されます。

また、破産手続きが始まった後に得た収入はすべて自由に使うことができます。

しかし、自己破産は強力な解決手段であるため、いくつかのデメリットが生じることもあります。

「もう自己破産するしかないが家族に迷惑をかけるのではないか」と不安に感じて、自己破産に躊躇する人は実際にも少なくないようです。

そこでここでは今回は自己破産すると家族にどのような影響が起きるのかということについて解説します。

1.自己破産が家族に直接の不利益をもたらすことはない

自己破産したときにはいくつかのデメリットが生じることがあります。

しかし、デメリットを受ける対象は「破産した債務者本人」に限られます。

破産した債務者の家族は破産手続きから直接的な不利益を受けません

(1) 財産の差押えによる影響

自己破産したときに差し押さえられる財産は、「破産手続き開始決定のときに債務者が所有していた財産」に限られます。

自己破産では、債務者が所有する不動産の処分は避けることが難しいため、転居の必要が生じることで家族にも間接的な影響は出ます。

なお、賃貸物件に住んでいる場合は、自己破産してもそのまま住み続けることが出来ます。

破産者の財産であっても、テレビ(29インチ以下1台まで)、冷蔵庫(1台まで)・ベッド・タンスといった生活に欠かせない家電や家具は差し押さえられません。

また、現金も99万円までは手元に残すことが出来ます。

自己破産した債務者が所有している自動車は、原則として処分されます。

しかし、購入から年数が経過して価値が低いときには処分せずに済む場合もあります。

家族名義の自動車は原則として差し押さえられることはありません。

(2) 官報への氏名・住所の掲載による影響

自己破産すると手続き開始・免責決定のそれぞれのときに、官報に債務者の氏名や住所が掲載されます。

しかし、家族構成や家族の氏名などが掲載されることはありません。

また、一般の人が官報を読んでいることもほとんどないので、官報に掲載されることで知人などに自己破産を知られる心配は不要と言えます。

(3) 資格・職業の制限による減収

弁護士・司法書士・公認会計士・宅地建物取引士といった資格を用いて仕事をしている人の場合には、自己破産によって一定期間資格に制限が生じます。

また、警備員などの一部の職業は自己破産すると一定期間従事できない業務が発生します。

そのため配置転換や休業などために、減収や無収入となることも考えられます。

ただし、自己破産による資格制限・就業制限は、「復権するまで」の期間に限られます。

自己破産のほとんどは免責によって復権を受けるため、資格・就業に制限がかかるのは数ヶ月程度です。

(4) 郵便物の破産管財人への回送、転居・旅行の制限

申し立てた自己破産が「管財事件」となったときには、破産手続きが終了するまでの間、債務者宛の郵便物が破産管財人に回送されます。

また、「引っ越し」や「旅行」の際にも裁判所の許可が必要となります。

これは、債務者の財産状況や負債の状況を十分に調査し、財産隠しや債務者の逃亡を予防するための措置です。

しかし、家族宛の郵便物が破産管財人に回送されることはありませんし、債務者本人以外の転居や旅行が制限されることはありません。

また、これらの制限は、破産手続き終了までの数ヶ月程度に限られます。

(5) クレジットカードやローンの申込みへの影響

自己破産をすると、自己破産したことが信用情報(いわゆるブラック情報)として5年から10年間登録されます。

この間は、新規のローンの申込みやクレジットカードの発行が難しくなります。

しかし、家族名義のカードが解約されたりすることはありませんし、債務者が家族名義のカードを利用することは問題ありません。

家族名義でカードが作れないときには、デビットカード(クレジット機能のないもの)で代用できる場合もありますし、ETCカードにはクレジット機能のないデポジット式のもの(ETCパーソナルカード)もあります。

自動車ローンや住宅ローンの申込みも、家族に収入があれば、家族名義で申し込むことは全く問題がありません。

2.自己破産のデメリットでよく誤解されていること

自己破産で「こんなデメリットが生じる」といわれていることには、間違った情報や誤解に基づくものも少なくありません。

よく誤解されているいくつかのポイントについて解説します。

(1) 自己破産しても住民票・戸籍に記載されることはない

自己破産すると「戸籍住民票に記録が残る」ことはありません。

したがって、子が結婚する際に親の自己破産を他人に知られることもありません。

ところで、本籍のある市区町村では、「破産者でないことの身分証明書」の交付を受けることができますが、この身分証明書は戸籍や住民票とは別の「破産者名簿」に基づいて行われます。

「破産者名簿」は第三者に公開されるものではありませんし、現在の運用では、「免責不許可が確定したとき」や「免責不許可が濃厚なとき」に限り破産者名簿に氏名などが記載されます。

実際の自己破産のほとんどは免責されるので、破産者名簿への記載も心配する必要がありません。

また、住民票や戸籍と同様に、「マイナンバー」から家族の自己破産歴が知られることもありません。

(2) 選挙権や将来の年金受給権も失わない

「自己破産すると選挙権被選挙権を失う」、「自己破産すると将来の年金がなくなる」と思い込んでいる人も少なくないようですが、そのようなデメリットは一切生じません。

また、年金受給者が自己破産しても、本人や家族の年金が差し押さえられることもありません。

(3) 親が自己破産しても奨学金は借りられる

最近では大学生の2人に1人が奨学金の貸与もしくは給付を受けているといわれます。

従前は奨学金の貸与の際には親が連帯保証人となることが必要でした。

しかし、現在では、連帯保証人を立てずに保証会社を利用することで奨学金の貸与を受けることもできます(日本学生支援機構の奨学金の場合)。

3.家族に内緒で自己破産することは可能

「自己破産」にはどうしてもネガティブなイメージがついてまわります。

そのため「家族に知られずに自己破産できないか」と考える人は少なくありません。

(1) 家族に内緒で自己破産することは難しい

家族に知られずに自己破産することは、実際には簡単ではありません。

たとえば、同居の家族に収入があるときには、自己破産を申し立てる際に、「家族の直近3ヶ月分の給与明細(年金受給証明書)」を裁判所に提出しなければなりません。

また、住宅ローンの場合のように、債務者の借金には家族が連帯保証人となっている借金も少なくありません。

連帯保証人となっている債務者が自己破産すれば、その借金を連帯保人である家族が返済しなければなりません。

さらには、債務者が家族(親戚)からお金を借りている場合や、逆にお金を貸している場合も多いと思います。

自己破産手続では、すべての借金を手続きの対象とする必要があるので、「身内でのお金の貸し借り」であっても申告しなければなりません。

以上のように、自己破産の手続と家族は切り離せないことが多いため、「家族に知られず」に自己破産することは難しいと考えておいた方がよいでしょう。

(2) 「生活再建」のためには家族の協力が必要不可欠

自己破産は、借金を清算して「生活を建て直す」ために行うものです。生活の建て直しのためには、借金の原因を絶たなければいけません。

生活費の切り詰めや、浪費やギャンブルをキッパリ止めることを「1人きり」で行うことは簡単でないことも少なくないでしょう。

また、借金の問題は「1人で抱え込む」ことが深刻化の大きな原因にもなります。再度の自己破産とならないためにも、「家族の支え」はとても大切です。

4.自己破産は泉総合法律事務所津田沼支店へご相談下さい

自己破産するといくつかのデメリットが生じることがあります。

しかし、すべてのデメリットが必ず生じるわけではありませんし、手続き終了や免責までの数ヶ月間に限定されるものがほとんどです。

また、家族に直接のデメリットが生じることはありません。

泉総合法律事務所の各支店では、借金問題の相談を無料でお受けいただくことができます。

自己破産について不安な点もお気軽にご相談いただければ、丁寧に説明させていただきます。

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