津田沼(習志野市)で個人再生|債務整理に強い弁護士に相談・依頼
個人再生は、裁判所によって債務の大幅な減額をしたうえ、3年(最長5年)での分割払いを認めてもらう債務整理の方法です。
自己破産のように資産を処分する必要もなく、住宅ローンは特別扱いしてもらえるなど、非常にメリットが大きい反面、手続きが難しく、弁護士に依頼し十分な準備をしないと、債務整理に失敗してしまう危険性も高いものです。
今回は、個人再生を実行するには、なぜ弁護士に相談、依頼をするべきなのか、その理由のうちいくつかの重要なポイントを説明します。
このコラムの目次
1.手続きの複雑さと難解さ
(1) 個人再生は非常に複雑な法制度
「個人再生」制度を定めた「民事再生法」は、企業の経営再建を目的とした債務処理制度です。
多数の利害関係人が予定され、影響が及ぶ範囲も大きいので、非常に厳格な手続きで、複雑な制度構造です。
個人再生は、この民事再生手続を、個人向けに簡素化しましたが、それでも複雑かつ難解と言われています。
(2) 民法など他の法律の専門知識が不可欠
個人再生を理解するには、民法、民事訴訟法、破産法などの各種法律に関する知識が必要です。
さらに、これらの知識を備えている弁護士であっても、個人再生の手続きについて、勉強を重ね、多くの経験がないと、自信を持って取り組むことができない分野です。
(3) 給与所得者等再生の可処分所得要件
①給与所得者等再生の可処分所得要件
一つの例として、「給与所得者等再生」における「可処分所得要件」の判断があります。
給与所得者等再生は、債権者の意向にかかわらず、裁判所の判断だけで再生計画を認可できます。
反面、弁済するべき金額の下限を厳しくしており、債務者の可処分所得の2年分以上の金額が要求されます(可処分所得要件)。
小規模個人再生には、この要件はありません。
②可処分所得の算出
その可処分所得とは、債務者の収入から、自分と扶養家族の生活に必要な金額を控除した残りの金額です(法241条2項7号)。
この生活に必要な金額は、「民事再生法第241条第3項の額を定める政令」という政令に定めています。
この政令は、居住地域、家族構成によって、各種の生活維持費用の金額を定めているだけのものです。
したがって、債務者の条件に従って、数字をひろうだけのことなのですが、実際に、この政令を見ていても金額を求めることは困難です。
そのため「給与所得者等再生のための最低生活費算出の手引き」(個人債務者再生制度研究会)というマニュアルが発表され、実務家は、これを参考にしつつ計算をしているというのが実際です。
しかも、これを前提としても、常用している専門家は格別、一般の方が可処分所得を計算することは事実上難しいと言わざるを得ません。
しかし、この計算ができないと、給与所得者等再生において、弁済が必要な最低額がわからず、再生計画案を作成することができません。
それどころか、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらの手続きを選択するべきかの判断もつきません。
このように、法律自体の解釈に関わらない数字の計算においてすらこの有様です。
まして、法解釈が必要な部分に関しては、正確な知識のもとに進めないと、思わぬ失敗をし、最終的に個人再生を認めてもらえない事態になりかねません。
2.個人再生は、裁判所によって運用が異なる
(1) 法律の運用は裁判所によって違う
法律は、日本全国どこでも平等に運用されるように思われますが、実は違います。
同じ法律でありながら、A地域のA裁判所での運用と、B地域のB裁判所での運用が違っていることが珍しくないのです。
かつては東京地方裁判所と大阪地方裁判所で、交通事故の賠償金の計算方法が異なり金額に差が生じるため、どちらが正しいのかというのが実務家の関心事であった時代もあります(現在は統一されています)。
同様に、個人再生も担当する裁判所によって、その運用が異なっています。
(2) 東京地方裁判所の運用例
東京地裁では、個人再生の申立件数が大量で、効率よくかつ公正に処理する必要性から、弁護士による申立を原則とした手続モデルを確立しています(※)。
全ての申し立てについて、個人再生委員を選任して、①債務者の財産・収入の調査、②債権者が主張する債権内容が正しいかどうかを判断する裁判所の補助、③債務者が適切な再生計画案を作成するための必要な勧告(助言)をするという役目を担わせ、裁判所の負担を軽減しています。
このため東京地裁では、通常の申立費用の他に、常に個人再生委員の報酬として15万円の費用がかかります。
※本人による申立ての場合には、その事案の内容に応じて、個別に審理の方針を立てるとされています。「個人債務者再生手続に関する運用方針」(東京地裁民事第20部)による
(3) 津田沼(習志野市)を担当する千葉地方裁判所の運用例
津田沼(習志野市)在住の方が個人再生を申し立てる場合に担当となる千葉地方裁判所(※)は、弁護士を代理人として申し立てをすれば、個人再生委員は選任されませんが、本人が申し立てをした場合は、個人再生委員が選任されます。
※個人事業主で主たる営業所が習志野市以外にある場合はその営業所の所在地を管轄する裁判所が担当です。
津田沼(習志野市)在住の方が千葉地方裁判所に個人再生を申し立てた場合の費用は次のとおり、弁護士を代理人とした場合か否かで異なります(※)。
- 収入印紙 1万円
- 予納郵便切手 4200円
- 予納金
(ア)代理人弁護士によって申し立てをする場合:官報公告料として1万2268円
(イ)本人が申立てをする場合:官報公告料及び個人再生委員の報酬として合計21万2268円
※司法書士は、申立代理人となれません。司法書士に申立書類を作成してもらった場合も、個人再生委員が選任されますので、その報酬分の費用がかかります。
このような点以外にも、各裁判所によって、提出するべき書式や資産の評価方法などが細かく異なるケースがあります。
したがって、個人再生を申し立てるには、その地域を担当する裁判所の運用に精通した弁護士に依頼することがもっとも安心です。
3.住宅ローン特則を利用する場合には、銀行との事前協議が不可欠
(1) 住宅資金特別条項制度(住宅ローン特則)の利用条件
①債務者の経済的更生を支援する制度
個人再生では、住宅ローンは、他の債務とは別の取り扱いが認められ、住宅を失わずに債務整理を行うことができます。これを「住宅資金貸付債権に関する特則」といいます。
再生計画のうち、この特則を利用した部分が「住宅資金特別条項」(「住宅ローン条項」)です。
この制度は、生活の本拠である住宅を維持させて経済的更生を支援するものですが、一部の債権だけの特別扱いを認めており、債権者平等原則の重大な例外です。
このため、厳格な条件が設定されています。
②住宅ローン条項付の再生計画の認可
住宅ローン条項付の再生計画は、その実現可能性を裁判所が積極的に認めてくれないと認可されない。
民事再生の原則では、裁判所が再生計画を不認可とするのは、再生計画が「遂行される見込みがないとき」とされています(法174条2項2号)。
ところが、住宅ローン条項付の再生計画だけは、再生計画が「遂行可能であると認めることができないとき」に不認可とされています(法202条2項2項)。
一見似たような書き方ですが、その意味には大きな違いがあります。
一般原則では再生計画の実現を妨げる積極的な事情がなければ再生計画は認可されます。
他方、住宅ローン条項付の再生計画では、それが実現可能であることを裁判所が積極的に認めてくれなければ認可できないということです。
つまり、裁判所が「大丈夫!」と太鼓判を押せる計画でなくては駄目だということです。
(2) 銀行との事前協議が必要
①事前協議制度
個人再生の申し立て前に、債務者と銀行の協議を要求(事前協議制度)
では裁判所が大丈夫と太鼓判を押せる条件とは何でしょうか?
それは、住宅ローンの債権者である銀行自体が大丈夫と言ってくれることです。
このため住宅ローン特則を利用する債務者は、あらかじめ銀行側と事前協議をすることが要求されているのです(民事再生規則101条1項)。
さらに、事前協議を受けた銀行は、再生計画の立案について、債務者に対して必要な助言をするものとして、協力が要求されているのです(同規則101条2項)。
つまり、債務者に対し、住宅ローン特則を利用したいなら、申立書を裁判所に持って来る前に、銀行と話し合って中身を詰めてから来い、銀行はそれに協力しろと定めているのです。
②銀行側との事前協議内容
これを受けて、この事前協議の対応について、全国銀行協会が「民事再生規則に基づく住宅資金条項手順例・参考例について」(平成13年2月9日)というマニュアルを公表しています。
この「手順例・参考例」では、債権者が銀行に事前協議の申し入れをしてから、住宅ローン条項案を作成するまでのプロセスが説明されています。
その中で、①債務者は、銀行に対し、収入の明細や債務内容の全容がわかる資料を提出し、住宅ローン以外の債務に関する返済の見通しを伝えること、②銀行は、それらの資料をもとに、住宅ローンへの弁済可能額を算出して、いくつかのパターンの中から適当なリスケジュール案を債務者と相談しながら作成するとされています。
このように、住宅ローン特則を利用する場合は、個人再生申し立てに先立ち、債務者と銀行が協議し、債務者の収入、負債状況から、銀行がOKできる計画案を作っておいてくれというわけです。
③意見聴取制度
再生計画の認可にあたり、裁判所から銀行に対し意見を求める(意見聴取制度)
さらに、個人再生の申立後に、債務者から、住宅ローン条項付き再生計画が裁判所に提出された時には、裁判所は銀行側の意見を聴取しなければなりません(法201条2項)。
もしも、意見を求められた銀行側が、その再生計画では実現が不可能と述べれば、裁判所としては再生計画が遂行可能と積極的に認めることは困難となり、再生計画を不許可としてしまう危険性があります。
このように、事前協議で、銀行側と再生計画の内容を詰めておくことは、個人再生を成功させるために必須の作業なのです。
4.弁護士により裁判所を説得する工夫
(1) 裁判所に信用してもらう
申し立ての時点で裁判所に信用されないと、手続きを開始してくれない。
負債がギャンブルや浪費による場合、個人再生は、個人破産のような免責不許可事由はないので、そのこと自体は再生計画の不認可事由とはなりません。
しかし、ギャンブル癖や浪費癖は、再生計画を実行する可能性の判断に大きく影響します。
個人再生の申し立て時点で、「再生計画案が認可される見込みがないことが明らかであるとき」は、裁判所は、個人再生の申し立てを棄却しなければならないとされています(法25条)。
裁判所が、分割払いを実行できるはずがないと判断してしまえば、入り口ではねられてしまうのです。
(2) ギャンブルや浪費でも説得の余地はある
したがって、申し立ての段階では、ギャンブル癖、浪費癖は、すでに完治しており、強く反省して、今後はそのようなことはないと裁判所に信頼してもらう必要があります。
裁判所に虚偽の事実を申告しろという意味ではありません。事実を正直に申告したうえで、今後の心配がないことを示す事実を明らかにし、裁判官を説得するという活動です。
少なくとも弁護士に依頼して、申し立ての準備を始めてからは、ギャンブルや浪費をやめ、通常は申し立て後に裁判所から積立を指示される再生計画案と同じ金額の積立金(※)についても、弁護士に依頼後すぐに、毎月弁護士の口座に積み立ててきた実績があるとの証拠を示すなどの工夫をする必要があるのです。
※履行可能テストといいます。再生計画が認可される前の段階で、分割弁済金を毎月、積み立てることができるかどうかを申し立てから6ヶ月程度、テストされます。
個人再生委員の口座に積み立てる方法(東京地裁)、申立人代理人の口座に積み立てる方法(千葉地裁など)があります。
このような裁判官を説得する工夫は、日頃から、法廷活動、すなわち法律と事実に基づいて裁判官に「プレゼン」を行うことを本務としている弁護士のもっとも得意な活動なのです。
5.個人再生は、手続き終了後にも、弁護士のサポートが必要
(1) 個人再生が、本当に大変なのは、手続きが終わってから
①再生計画認可によって、裁判所の手続は終了する
個人再生の手続きにおいて、裁判所が再生計画案を認可(法231条)した後、債権者らは、1週間以内ならば、即時抗告という異議を申し立てることができます(法175条1項、18条、民事訴訟法332条)。
即時抗告がないとき、即時抗告が認められなかったときは、再生計画の認可が確定します。
これにより、個人再生の手続きは自動的に終結します(法233条、244条)。
②再生計画の実行は、自分でやらなければならない
再生計画の認可が確定したときは、債務者は、速やかに再生計画を遂行しなくてはなりません(法186条1項)。つまり約束どおりの分割弁済を着実に履行する義務を負います。
しかも、その義務の履行には、裁判所が関与することはありません(説明したとおり、もう手続きは終了しているからです)。自分で行わなくてはならないのです。
企業向けの民事再生では、企業が再生計画を実行するかどうかを監督する者(監督委員)を裁判所が選任してくれますが(法186条第2項)、個人を対象とする個人再生では、そのような者は選任されません。
個人再生委員が選任される場合も、再生計画の実行には関与しません。
あとは、債務者が再生計画に従って、きちんと分割弁済を行う義務だけが残るわけです。
ですが、ここから先の3年間(または5年間)が、最も重要で、最も苦しい期間であることは言うまでもありません。
③再生計画を実行できなければ、個人再生を取り消される
もしも再生計画を実行できないとどうなるでしょうか?
債務者が、再生計画の実行を怠ったときは、債権者(※)は、裁判所に対し、再生計画を取消すよう申し立てることができます(法189条1項2号)。
裁判所がこれを認め、再生計画を取り消す決定がなされた場合、いったん確定した再生計画の効力(債務を減額して分割場合とする効力)は覆され、債権債務は、元の状態にもどってしまいます。
つまり、個人再生の手続き前の苦しい状態が復活してしまうのです(法第189条7項)。
しかも、各債務とも、もともとの約定どおりの支払いをしていないわけですから、すべてが滞納となってしまい、個人再生の申し立て前よりも、状況はより悪化してしまいます。
※:再生計画の取り消しを申し立てできる債権者は、限定されています。減額された債務の10%以上の債権額を有する債権者に対して、再生計画どおりの支払いをできていないときに、その債権者が取り消しの申し立てをすることができます。
(2) 再生計画を実行できないときの弁護士によるサポート
①弁護士による再生計画変更の申し立て
再生計画を実行できなくなる事態が生じた場合は、できるだけ早く、個人再生の手続きを担当していた弁護士に報告する必要があります。
再生計画の変更申し立てを行うことができるからです。最終の支払期限を、最大2年まで延長してもらう手続きです(法234条1項)。
つまり最長7年の分割払いを認めてもらえる可能性があるわけです。
再生計画の変更は、「やむを得ない事由」で、再生計画の遂行が著しく困難となったときに認められます。
景気の悪化で売り上げが激減した、天災や火事などによって休業を余儀なくされた、会社の業績不振でボーナスが支給されなかった、給与が減額されたなどの場合が該当します。
期限を2年間延長してもらったけれども、変更後の計画の実行も困難となったという場合は、再度、変更を申し立て、さらに2年の延長を認めてもらうことも不可能ではありません。
また、期限を延長するだけでは実行が困難であれば、個人再生の申し立てを、再度行うことも検討に値します(法190条)。
さらに、次に説明する「ハードシップ免責」の利用も選択肢となります。
②弁護士によるハードシップ免責の申し立て
天災、病気、リストラなど、債務者の責に帰すべきことができない理由によって、再生計画の実行が極めて困難になり、再生計画の変更でも対処できない場合には、「ハードシップ免責」の申し立てによって、残債務の免責を認めてもらうことができます(法235条)。「ハードシップ」とは「救済」という意味です。
これには、それまでの間に、再生計画の4分の3以上で、かつ清算価値保障原則(※)以上の分割払いを終えていることなどが条件となりますので、ハードルは高いですが、もはや債務の返済は不要となりますので、強力な救済制度です(但し、住宅ローン条項を利用した場合、住宅ローンも免責されるものの、銀行の担保権には影響しないため、抵当権を実行されて住宅を失うリスクは残ります)。
※:債務者が、仮に自己破産を選択していたならば、その資産を処分して、債権者への返済(配当)に充てたであろう金額以上の金額を、個人再生において返済をしなくてはならないという原則。
③再生計画の実行完了まで、継続して弁護士のサポートが必要
計画を実行できないときは、あきらめず、対応した手続きを迅速に行うことが必要です。
迅速な対応は、債務者の事情を詳しく知っている弁護士であって初めて可能です。
申し立ての段階から、個人再生に精通した弁護士を代理人として、再生計画を実行し終える最後の段階まで、継続したサポートを受けることがベストなのです。
6.泉総合法律事務所津田沼支店なら何度でも相談無料
津田沼(習志野市)で、個人再生の申立を行うときに、個人再生に強い弁護士に相談、依頼をするべき理由について、五つの例をあげて説明をしました。
再度、申し上げますが、個人再生はメリットが大きい反面、一般の方にはハードルが高すぎる制度です。
生兵法で取り返しのつかない失敗をするよりも、最初から専門家に任せて下さい。安心して本来の仕事に邁進し、一日も早く生活を再建できるよう祈念しています。
習志野市、船橋市、八千代市、鎌ヶ谷市、市川市、千葉市花見川区・美浜区、JR総武線や新京成電鉄線沿線にお住まい、お勤めの方で、借金問題でお悩みの方は、お早めに泉総合法律事務所津田沼支店にご相談ください。
-
2020年2月28日債務整理 自己破産を弁護士に依頼するメリット
-
2020年3月24日債務整理 個人再生をすると車はどうなる?知っておくべき個人再生と車の関係
-
2020年2月17日債務整理 個人再生をすると返済額はいくらに減る?